ノンレム睡眠とレム睡眠とは?違いや特徴、増やす方法など睡眠周期について解説
私たちは人生の約3分の1を睡眠に費やしていますが、その時間が単なる「休息」ではなく、複雑で精緻な周期的プロセスであることをご存知でしょうか。睡眠は大きく分けて「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」という2つの状態を行き来しており、それぞれが脳と身体の回復において異なる重要な役割を担っています。
この記事では、これら2つの睡眠状態の違いや特徴を解説するとともに、質の高い睡眠サイクルを実現するための実践的な方法についてご紹介します。理想的な睡眠リズムを手に入れることで、日中のパフォーマンスや長期的な健康にどのような変化が訪れるのか、一緒に探っていきましょう。
睡眠周期サイクルとは?ノンレム睡眠とレム睡眠の違い

睡眠周期サイクルとは、私たちが眠っている間に脳が繰り返し通過する一連の睡眠段階のことです。一般的に、1つの完全な睡眠周期は約90〜110分間続き、ノンレム睡眠(軽い眠りから深い眠りまでの3段階)とレム睡眠(夢を見ることが多い段階)で構成されています。

ノンレム睡眠とレム睡眠の違いについて、表にまとめました。
ノンレム睡眠 | レム睡眠 | |
脳の状態 | 大脳皮質の活動が低下し、休息している状態 | 大脳皮質の活動は活発で、覚醒時に近い状態 |
身体の状態 | 筋肉の緊張が緩み、動きが少ない | 筋肉は弛緩するが、ピクッと動くことがある |
眼球運動 | ほとんど見られない、またはゆっくりとした動き | 急速な眼球運動が見られる |
出現時期 | 睡眠初期に現れ、徐々に深い睡眠へと移行する | 睡眠の中盤から後半にかけて現れる |
役割 | 脳と身体の休息、記憶の整理・定着 | 記憶の整理・定着、情動の処理、夢を見やすい |
1晩の睡眠中に通常4〜6回のこのサイクルを繰り返し、各段階は脳と身体の回復、記憶の固定化、情報処理などの重要な機能を果たしています。このサイクルはホルモンバランスや脳波活動によって調整され、質の高い睡眠には全段階を適切に経験することが不可欠です。
ノンレム睡眠とは

ノンレム睡眠とは、睡眠中に起こる二つの主要な睡眠状態の一つで、脳波の活動パターンによって判別されます。この状態では、急速眼球運動(Rapid Eye Movement)が見られないことから「ノンレム(非REM)」と呼ばれています。
脳波の活動性に基づいてステージ1から4までの深さに分類され、浅い眠りから深い眠りへと移行します。ノンレム睡眠、特にステージ3と4の徐波睡眠中には、脳の代謝活動が低下し、成長ホルモンの分泌が促進されるため、身体の回復や組織修復に重要な役割を果たしています。
また、この状態では副交感神経が優位になり、エネルギー保存機構として機能していると考えられています。睡眠周期の中で、入眠直後や睡眠前半に多く出現し、加齢とともに特に深いノンレム睡眠(徐波睡眠)の割合は減少する傾向があります。
参考:厚生労働省|ノンレム睡眠
レム睡眠とは

レム睡眠とは、睡眠周期の中で特徴的な一段階で、急速眼球運動と骨格筋の活動低下が見られる状態です。脳波はステージ1の浅い眠りに似た低振幅パターンを示し、特徴的な鋸歯状波が出現することがあります。
この時期には自律神経系が不安定になり、心拍や呼吸が乱れるとともに、陰茎・陰核の勃起が見られます。レム睡眠中に人を起こすと約80%の確率で夢を見ていたと報告することから、「夢を見る睡眠」とも呼ばれています。通常の夜間睡眠では、深いノンレム睡眠を経た後に現れ、90〜120分の周期で繰り返され、朝に近づくほど持続時間が長くなる傾向があります。全睡眠時間の約20%を占め、発達期にもっとも多く、加齢とともに減少していきます。
参考:厚生労働省|レム睡眠
睡眠周期が乱れるとどうなる?
睡眠周期が乱れると、心身に様々な悪影響が現れます。具体的には、以下のような症状が起こりやすくなります。
日中の活動に支障をきたす
睡眠周期が乱れると、日中の覚醒度が不安定になり、特に午後に強い眠気に襲われることがあります。十分な深い睡眠(徐波睡眠)を得られないと、疲労感が持続し、集中力が低下して作業効率が落ちます。
また、反応時間が遅くなるため、運転や機械操作などの危険を伴う活動でミスや事故のリスクが高まります。
記憶力や判断力が低下する
睡眠、特にレム睡眠とノンレム睡眠の深い段階は、記憶の固定化や情報処理に重要な役割を果たします。睡眠周期が乱れると、新しい情報の学習能力や長期記憶への転送に障害が生じ、問題解決能力も低下します。
また、感情的な記憶の処理にも影響し、状況判断や意思決定が鈍くなることがあります。

イライラやストレスが増加する
睡眠不足や睡眠周期の乱れは、感情調節に関わる脳領域(特に扁桃体や前頭前皮質)の機能に影響し、ネガティブな感情反応が強くなります。ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが上昇し、不安やイライラ、落ち込みなどの感情的反応が生じやすくなります。これにより対人関係にも悪影響を及ぼすことがあります。
生活習慣病や肥満のリスクが高まる
睡眠周期の乱れは代謝システムに影響し、食欲を調節するホルモン(レプチンとグレリン)のバランスを崩します。これにより空腹感が増し、特に高カロリー食品への欲求が強まり、肥満のリスクが高まります。
また、インスリン抵抗性の上昇や血糖値の調節異常を引き起こし、糖尿病や高血圧、心臓病などの生活習慣病のリスクを高めます。さらに、免疫系の機能低下により、感染症にもかかりやすくなります。
ノンレム睡眠を増やす方法

ノンレム睡眠、特に深いノンレム睡眠(徐波睡眠)を増やすためには、以下の方法が効果的とされています。
規則正しい生活習慣を心がける
体内時計(サーカディアンリズム)を安定させることで、深いノンレム睡眠を促進できます。毎日同じ時間に就寝・起床することで、体は深い睡眠に入るタイミングを自然に学習します。特に就寝時間が不規則だと、N3(深いノンレム睡眠)の質と量が低下するため、週末でも平日と同様の就寝・起床時間を維持することが理想的です。
また、日光を浴びることで体内時計がリセットされるため、朝の日光浴も効果的です。
寝室環境を整える
脳が休息モードに入りやすい環境作りが重要です。暗く(光が遮断された)、静かで、やや涼しい(18〜20℃程度)寝室環境が理想的です。特に光はメラトニン分泌を抑制するため、遮光カーテンの使用や電子機器のLEDライトを隠すことで、深いノンレム睡眠に入りやすくなります。
また、快適なマットレスや枕を選ぶことで、身体的な不快感による中途覚醒を減らし、連続した深い睡眠を維持しやすくなります。

就寝前の過ごし方を工夫する
就寝の1〜2時間前からリラックスモードに入ることが重要です。ブルーライトを発する電子機器(スマートフォンやパソコン)の使用は控え、代わりに入浴や読書、瞑想などのリラックス活動を取り入れましょう。特に入浴は体温を上昇させた後に下がる過程で睡眠が促進されるため、就寝の1〜2時間前の入浴が効果的です。
また、日中に適度な運動(特に有酸素運動)を行うことで、夜間の深いノンレム睡眠が増加することが研究で示されています。
食事に注意する
就寝前の過度な食事や飲酒は避けましょう。特に重たい食事や脂肪の多い食事は消化に時間がかかり、睡眠の質を低下させます。
またカフェインは半減期が長いため、理想的には就寝の6〜8時間前までに摂取を控えることが推奨されています。一方で、トリプトファンを含む食品(乳製品、ナッツ類、バナナなど)や、マグネシウムを含む食品は睡眠を促進する可能性があります。軽い夜食として適量のこれらの食品を摂ることで、睡眠の質が向上するかもしれません。
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睡眠は単なる休息ではなく、脳と身体の健康を維持するための精密なプロセスです。ノンレム睡眠とレム睡眠のバランスが整った睡眠サイクルを維持することは、日々のパフォーマンスと長期的な健康の両方に直結します。この記事でご紹介した規則正しい生活習慣、適切な睡眠環境の整備、就寝前のリラックス習慣、そして食生活の見直しといった方法を日常に取り入れることで、質の高い睡眠を手に入れ、心身ともに充実した毎日を過ごしましょう。あなたの人生の3分の1を占める睡眠時間を大切にすることが、残りの3分の2の質を高める鍵となるのです。
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